会社を経営するということ。
会社を経営していくって、本当に大変です。
経営するってどういうことなのか、真剣に考えてみました。
良い経営をするということは、どういうことなのか、を考えてみたんです。
そもそも良い経営ってなんなんだ?
「良い経営」というと、売り上げをあげるとか利益を出すというような表現になりますよね。でも私にはしっくりこなかったんです。
以前、私がまだ30代後半の時、経営が厳しくて、資金繰りに苦労をしました。
資金繰りをするために、営業をしました。毎日毎日、受注活動に勤しんでおりました。ラッキーが重なり、何とかお金もまわり、昭和8年創業以来「85年分のありがとう」という今があるのですが、当時は本当に辛かったです。これについては、また改めて詳しく書きたいと思います。
ここで気付くことになるのですが、資金繰りをするために営業活動をする、というのは変だと思ったのです。目的が違うのです。お客様の為ではなく、自分の都合で営業活動をするのですから、やっぱり変ですよね。
本来は、私たちの専門的な技術やノウハウをご提供して初めて、世間様のお役に立ち、そしてお代をいただくことが出来る。何を言いたいかと言いますと、相手のお役に立つことが先だということです。
そこで、自分なりに言い方を変えてみました。
「良心で経営をする」
この方がいい感じがする。
正直な感じがする。
良い経営をするということは、良心にしたがって経営をすることだと思うのです。
別の表現にすると、心の経営となるかもしれません。

良心にしたがって心の経営を目指していくと、売り上げを上げることが目的ではなく、世間様のお役に立つことが目的だと明確になっていきました。
それでも、資金繰りが苦しい時は、考えがぶれてしまう時もありました。考えがぶれると必ずと言ってよいほど、しっぺ返しが来ることになります。どこかで神様は見ているんですね。
こうして、私の考え方が次第に変わってきました。
お金儲けすることが目的ではないということ。これは分かっていたけど、まだ目的がはっきりしていない。何のために経営をしているのか。
そして、あるお客様との住宅の引き渡しを迎えることになったのです。
そのお客様は、弊社の社員に対して、「私の娘が家を建てる時には、また設計を頼みますよ。それまで元気に居てくださいね。」と。私は頭を殴られたような感じがしました。
お客様は、本当に喜んでくれました。その姿を見て、私たちも本当に嬉しかった。この時、こんなに仕事って素晴らしいものなんだ。社員は「私にはもったいない言葉だ」とまで言いながら、涙ぐんで喜んでいました。
これをきっかけに、会社の存在理由がはっきりしてきました。存在する目的です。
そして、私が一番大事にすべきなのは、お客様ではなく、社員だと思うようになってきたのです。あえて順番を付けるとしたら、お客様より社員が先でした。ということは社員様?と書くべきなのかな?
社員が生き生きと、働いている会社は、きっと良い経営をしているはずです。
社員が生き生きと、働いている会社は、きっと良い建物を建てているはずです。
社員が笑顔で、明るく、楽しんで働ける環境を作ることが、私の仕事であり、心の経営なんだと思うのです。
こうして、会社の経営理念が出来てきました。
一、私たちが幸せになること。
一、みんなが幸せになること。
これらを同時に実現していくこと。
では、どのようにしてこれらを実現していくのか。
そのベースになる考え方が、「お役立ちする」というものです。ですから、弊社の経営方針は「お役立ちベース」ということになり、これで行動していくことになります。
「誰かの役に立つ」ということは、とても美しく尊いものです。なぜなら、自分のことを横に置かなければ、つまり後回しにしなければ、相手にとって中途半端な対応となり、逆にご迷惑をお掛けすることになる場合もあります。
つまり、ここでは「徹底的にお役に立ちましょう」という考え方になります。これは、なんでもやってあげます、ということではありません。決して相手に媚びへつらうことではありません。本当に相手に立場になって、相手よりずっと深く考えて、答えに近づいていこうという考え方です。
相手とは、お客さまであったり、同僚であったり、協力業者だったりします。自分の周りの関係する方々全てにおいて、「心を込めて、お役立ちする」ということを前提に考えていきたい。
今後ともよろしくお願いいたします。